抄録
インクレチン関連薬による消化器症状を胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease,以下GERDと略す)の観点から注目し,その関連性をGLP-1受容体作動薬とDipeptidyl peptidase-4(以下DPP-4と略す)阻害剤とで比較検討した.対象はDPP-4阻害剤とGLP-1受容体作動薬を新規に開始した2型糖尿病患者で,FSSG(Frequency Scale for the Symptoms of GERD)問診票を用いてGERD様症状を有さないと確認された症例を連続前向きに検討した.主要評価項目はFSSG問診票によるGERD様症状発現率で行った.結果,GLP-1受容体作動薬はDPP-4阻害剤に比べGERD様症状発現が有意に増加を認めた.このことはインクレチン関連薬による消化器症状の理解の一助となり,インクレチン関連薬の選択や量の調整に有益と考える.