糖尿病
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症例報告
シタグリプチンとシベンゾリンの併用により重症低血糖を来たした腎機能障害を伴う2型糖尿病の1例
櫻井 健一片山 恵里茂手木 宏美
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2015 年 58 巻 5 号 p. 323-328

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抄録

症例は72歳女性.2型糖尿病経過中にシタグリプチン50 mgを開始し,血糖コントロール良好(HbA1c5 %台)となるも,その後低血糖と思われる症状が出現した.数日間の体調不良・食思不振の後,低血糖性昏睡(血糖値31 mg/dl)にて入院となった.この時の血清インスリンが9.24 uIU/mlと高値であり,インスリンの不適切分泌が疑われた.各種検査により,シタグリプチンとシベンゾリンの併用による薬剤性低血糖が疑われ,両薬を中止したところ低血糖は改善した.シベンゾリンは膵β細胞に対しSU薬と同様にKATPチャネルに作用し,インスリン分泌を促すことが知られている.本症例は高齢であり,腎機能障害を有しており,シタグリプチンとの併用によりインスリン分泌作用が増強したと考えられた.DPP4阻害薬をIa群抗不整脈薬と併用する際には相互作用による重症低血糖に十分留意する必要があると考えられた.

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© 2015 一般社団法人 日本糖尿病学会
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