抄録
2型糖尿病患者147名を対象に食行動特性(30問)及び行動経済学的指標を用いた心理学的特性(20問)に関するアンケート調査を実施し,生活習慣や臨床的管理指標との関係を検討した.BMI高値群はBMI低値群に比し,食行動特性の全てのカテゴリーの点数が高値で食行動のずれが認められ,心理学的特性は,終了した支払いを過剰に評価する支払い回収心理(サンクコスト効果),浮遊性のある選択をする選考の逆転が高値であった.この結果から,減量達成には,食行動の是正および心理学的アプローチとして療養目標を一つに絞り,食材などの購入を減らす事などの指導が重要であると考えられた.また,食行動特性の総合点は多くの心理学的特性と正相関していた.このことから,食行動の背景には心理学的特性が強く関係すると考えられ,食行動の是正のみならず心理学的特性を考慮した指導を行うことで,より効果的な自己管理を達成できる可能性がある.