糖尿病
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59 巻, 2 号
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原著
疫学
  • 莇 也寸志, 伊古田 明美, 伊藤 浩一, 松本 久, 沖本 久志, 清水 信明, 辻村 文宏, 福田 洋, 舟越 光彦, 宮城 調司, 三 ...
    2016 年 59 巻 2 号 p. 95-104
    発行日: 2016/02/29
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    若年2型糖尿病における臨床的特徴とライフスタイル・社会経済的状態の特徴を明らかにすることを目的に,全日本民主医療機関連合会加盟96施設の20~40歳の2型糖尿病患者(男525人,女257人,平均年齢男34.9±4.9歳,女34.6±4.9歳)を対象とした調査を実施した.二親等内の家族歴は男61.3 %,女70.8 %,最大BMIは男33.9 kg/m2,女33.9 kg/m2であった.20歳時BMI 25 kg/m2以上で,増殖前・増殖網膜症,光凝固術後,硝子体出血既往を含む重症網膜症と顕性蛋白尿または慢性腎不全の頻度が高かった.世帯の年間収入600万円以上11.9 %,高校卒以上35.9 %,正規雇用率(男60.0 %,女31.4 %)で,全国調査との比較では有意に低く,社会経済的状態が相対的に低かった.若年2型糖尿病では,濃厚な糖尿病の家族歴を背景に,著明な肥満をともなって発症していることが判明した.
病態・代謝異常・合併症
  • 横田 美紀, 竹内 淳, 永井 聡, 安藤 康博, 川嶋 望, 宮本 憲行, 甲谷 哲郎, 𠮷岡 成人
    2016 年 59 巻 2 号 p. 105-113
    発行日: 2016/02/29
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者においては冠動脈疾患の合併頻度が高く,生命予後を左右するために,早期の的確な診断が期待される.糖尿病では無症候性心筋虚血のために自覚症状が乏しく,診断時に高度に進行した病変を示す患者も少なくない.今回,我々は,合併症の精査目的に入院をした159例の無症候性糖尿病患者に対して320列冠動脈CTによる冠動脈疾患のスクリーニングを実施した.その結果,67例(42 %)に有意狭窄を認め,循環器内科医による追加検査によって20例(13 %)が虚血を有する冠動脈疾患と診断された.虚血を有する冠動脈疾患と診断された患者では,腎症の合併,降圧薬の使用,抗血小板薬あるいは抗凝固薬の使用,脳梗塞の既往が多かった.またeGFRは有意に低く,ABI,IMTにも有意な差異を認め,石灰化スコアも高値であった.
患者心理・行動科学
  • 辻 久美子, 福田 正博, 倭 英司
    2016 年 59 巻 2 号 p. 114-120
    発行日: 2016/02/29
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    2型糖尿病患者147名を対象に食行動特性(30問)及び行動経済学的指標を用いた心理学的特性(20問)に関するアンケート調査を実施し,生活習慣や臨床的管理指標との関係を検討した.BMI高値群はBMI低値群に比し,食行動特性の全てのカテゴリーの点数が高値で食行動のずれが認められ,心理学的特性は,終了した支払いを過剰に評価する支払い回収心理(サンクコスト効果),浮遊性のある選択をする選考の逆転が高値であった.この結果から,減量達成には,食行動の是正および心理学的アプローチとして療養目標を一つに絞り,食材などの購入を減らす事などの指導が重要であると考えられた.また,食行動特性の総合点は多くの心理学的特性と正相関していた.このことから,食行動の背景には心理学的特性が強く関係すると考えられ,食行動の是正のみならず心理学的特性を考慮した指導を行うことで,より効果的な自己管理を達成できる可能性がある.
症例報告
  • 桝田 智仁, 赤神 隆文, 角田 拓, 越智 史浩, 徳田 八大, 楠 宜樹, 美内 雅之, 勝野 朋幸, 宮川 潤一郎, 難波 光義
    2016 年 59 巻 2 号 p. 121-125
    発行日: 2016/02/29
    公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    症例は90歳,女性.2014年10月から口渇,多飲,多尿,体重減少を自覚し近医を受診した.随時血糖値693 mg/dl,HbA1c 14.4 %であったため,糖尿病と診断され経口血糖降下薬を処方された.ふらつきが出現したため同年11月に当院当科を受診した.ケトーシスを認め,緊急入院となりインスリン治療を開始した.グルタミン酸脱炭酸酵素(以下GADと略す)抗体価46,000 U/mlと著明高値,内因性インスリン分泌能が低下していたため,急性発症1型糖尿病(自己免疫性)と診断した.本症例は,85歳以上の超高齢の急性発症1型糖尿病であり,自己免疫性甲状腺疾患を合併していた.さらに疾患抵抗性のヒト白血球抗原(以下HLAと略す)ハプロタイプを有するという特徴があり,文献的考察を加え報告する.
地方会記録
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