症例は90歳,女性.2014年10月から口渇,多飲,多尿,体重減少を自覚し近医を受診した.随時血糖値693 mg/d
l,HbA1c 14.4 %であったため,糖尿病と診断され経口血糖降下薬を処方された.ふらつきが出現したため同年11月に当院当科を受診した.ケトーシスを認め,緊急入院となりインスリン治療を開始した.グルタミン酸脱炭酸酵素(以下GADと略す)抗体価46,000 U/m
lと著明高値,内因性インスリン分泌能が低下していたため,急性発症1型糖尿病(自己免疫性)と診断した.本症例は,85歳以上の超高齢の急性発症1型糖尿病であり,自己免疫性甲状腺疾患を合併していた.さらに疾患抵抗性のヒト白血球抗原(以下HLAと略す)ハプロタイプを有するという特徴があり,文献的考察を加え報告する.
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