抄録
近年生活習慣の欧米化や,2010年の妊娠糖尿病(GDM)の診断基準の変更によりGDMが増加している.当院におけるGDM症例において,インスリン治療の要否に関する因子について検討した.GDM 68例を対象として,診断時年齢,妊娠週数,Body Mass Index(BMI),75 g Oral glucose tolerance test(OGTT),HbA1cに関してインスリン治療を要した群40例と,食事療法のみ行いインスリン治療を要さなかった群28例に分け比較検討した.BMI,HbA1c,75 gOGTTの60分値と120分値,GDM診断基準の診断項目該当数がインスリン治療群で有意に高かった.また診断項目該当数が空腹時血糖値の1点のみである症例では,BMIが高値である症例を除いて食事療法で管理できる可能性が高いと考えられた.