症例は46歳女性.入院2ヶ月前より口渇,多尿,動悸,多汗が出現.発熱,下腹部痛,嘔吐のため他院に入院後,高血糖緊急症を疑われ当院に転院.当院入院時高血糖(308 mg/d
l),HbA1c高値(11.1 %),代謝性アシドーシスを認め糖尿病ケトアシドーシスと診断,原発性甲状腺機能亢進症,骨盤腹膜炎を合併していた.膵島関連自己抗体陽性(GAD抗体122.5 U/m
l,IA-2抗体11.0 U/m
l),インスリン分泌枯渇(空腹時血清CPR 0.36 ng/m
l)より急性発症1型糖尿病,TSHレセプター抗体陽性(166.1 IU/
l)よりバセドウ病,併せて多腺性自己免疫症候群3型と診断した.他に抗環状シトルリン化ペプチド抗体,抗ミトコンドリアM2抗体陽性であったが,3ヶ月後に両抗体とも陰性化した.本症例では多臓器に及ぶ自己免疫機序が一時的に賦活化していた可能性が考えられ,考察を加えて報告する.
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