2017 年 60 巻 5 号 p. 385-389
血糖コントロール良好群(7 %未満)の臨床的背景を検討した.JDDM参加施設初診時のHbA1cをI群(7 %未満)・II群(7~8 %未満)・III群(8 %以上)に層別化し,合併症の有病率,治療法の推移を比較検討した.3群とも推定罹病期間は11年あまりと差はなかったが,III群はI群・II群より若年で肥満していた.I群にはもともと軽症な糖尿病症例と前医で発症早期から良好な血糖コントロールで維持していた症例が存在することが推測される.2014年における網膜症・腎症・ATR異常の出現率がI群はIII群より低値であった.I群では食事療法単独で良好な血糖コントロールを維持する症例の割合が高かった.初診時のHbA1c値がその後の臨床像に関係しており,より早期からの血糖コントロールの重要性が示された.