糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
症例報告
DPP-4阻害薬投与中に門脈ガス血症をきたした2型糖尿病の2例
東 恵理子内田 あいら福山 貴大相良 陽子玉井 秀一中野 優子當時久保 正之川﨑 英二
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 61 巻 1 号 p. 28-33

詳細
抄録

症例1は85歳,男性.大動脈弁狭窄症に対する大動脈弁置換術後1日目に術前内服していたシタグリプチン50 mgを再開したところ,術後8日目に上腹部痛が出現し,心エコー検査時に門脈内に斑状高エコーを発見され,腹部CTにてHPVGと診断された.直ちにシタグリプチンを中止し,術後9日目の腹部CTでは門脈ガスの消失を認めた.症例2は82歳,男性.労作性狭心症に対する冠動脈バイパス術後2日目にリナグリプチン5 mgを再開したところ腹部膨満感が出現した.術後10日目に撮像した冠動脈CTで門脈ガス像を認めHPVGと診断し,リナグリプチンを中止したところ腹部症状は改善した.術後18日目の腹部CTで門脈ガス像は消失していた.α-GI内服によるHPVGの報告はあるが,DPP-4阻害薬でHPVGを来した報告はない.DPP-4阻害薬の術後早期再開後に腹痛を認めた場合,本疾患の可能性も念頭に置くべきであると考え報告する.

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本糖尿病学会
前の記事
feedback
Top