2018 年 61 巻 1 号 p. 22-27
症例は45歳,男性.叔父に2型糖尿病あり.10日前より続く全身倦怠感,口渇,多飲(1 L/日以上の清涼飲料水)を主訴に当院初診.受診時BMI 25.7 kg/m2,血糖1,260 mg/dL,HbA1c 12.4 %,動脈血ガスpH 7.156,尿ケトン3+.DKAの診断で入院し輸液とインスリン静脈内投与を開始した.病歴および肥満の存在よりソフトドリンクケトーシスを合併した2型糖尿病が疑われたが,GAD抗体強陽性,IA-2抗体陽性,IAA陽性にて急性発症1A型糖尿病と診断した.入院時血中CPR 0.37 ng/mLと低下していたが,3ヶ月後には空腹時/食後2時間CPR 1.41/8.39 ng/mLと内因性インスリン分泌の回復を認め,インスリン必要量も1.23→0.37 U/kg/日と減少した.DKAで発症する肥満糖尿病患者の鑑別は困難なことが多く,本症例は1型糖尿病の発症における肥満の役割を考えるうえで貴重な症例と考え報告する.