糖尿病
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委員会報告
劇症1型糖尿病の発症早期における膵臓MRI所見に関する調査報告
徳永 あゆみ今川 彰久西尾 博早田 敏下村 伊一郎阿比留 教生粟田 卓也池上 博司内潟 安子及川 洋一大澤 春彦梶尾 裕川﨑 英二川畑 由美子小澤 純二島田 朗高橋 和眞田中 昌一郎中條 大輔福井 智康三浦 順之助安田 和基安田 尚史小林 哲郎花房 俊昭日本人1型糖尿病の成因,診断,病態,治療に関する調査研究委員会
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キーワード: 劇症1型糖尿病
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2018 年 61 巻 12 号 p. 840-849

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抄録

劇症1型糖尿病は急激な発症と重症代謝異常が特徴である.本委員会では膵臓MRIのうち水分子の拡散制限を反映する拡散強調画像に注目し,劇症1型糖尿病発症早期における診断への有用性を検討した.画像データが存在する劇症1型糖尿病症例14例について,拡散の定量化指標であるADC(Apparent Diffusion Coefficient)値を算出し,非糖尿病対照例21例と比較した.劇症1型糖尿病症例では膵臓の全領域でADC値が有意に低下し,膵全体にわたる単核球浸潤による細胞密度上昇が示唆された.ADC値の最良のカットオフ値を用いると,診断感度86 %,特異度71 %であり,非典型例2例の診断にも有用であった.また,劇症1型糖尿病症例におけるADC値は血糖値および動脈血pHと有意に相関し,発症後経過とともに上昇傾向であった.以上より,膵臓MRI拡散強調画像は劇症1型糖尿病の効率的な診断の一助となることが示唆された.

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© 2018 一般社団法人 日本糖尿病学会
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