糖尿病
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症例報告
数年の経過でインスリン依存状態となったZnT8抗体単独陽性1型糖尿病の1例
児玉 尭也奥崎 健由田 彩佳磯山 正子大崎 慶子川崎 広平米田 真康
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2018 年 61 巻 2 号 p. 64-68

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抄録

症例は27歳女性.23歳時に高血糖を初指摘され,糖尿病性ケトーシスの診断で入院した.GAD抗体,インスリン抗体,IA-2抗体は全て陰性で,内因性インスリン分泌能も保たれており2型糖尿病として加療された.インスリン治療を離脱し,経口血糖降下薬の内服で退院した.26歳時に糖尿病性ケトアシドーシスを発症し入院したが,インスリン離脱に至らず,混合型インスリン製剤を用いた治療で退院した.27歳時に血糖コントロール不良のため当院内科に入院した.入院時の検査でGAD抗体,IA-2抗体は陰性だったが,内因性インスリン分泌能は低下していた.ZnT8抗体が153.0 U/mLと陽性で,1型糖尿病と診断しインスリン強化療法を導入して退院した.本症例のようにZnT8抗体単独陽性の1型糖尿病の症例が稀ながら存在し,他の自己抗体が陰性であっても1型糖尿病が疑わしいとき,ZnT8抗体の測定は診断に有用と思われる.

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© 2018 一般社団法人 日本糖尿病学会
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