糖尿病
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61 巻, 2 号
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特集
ラ氏島の生物学
原著
病態・代謝異常・合併症
  • 田中 理恵, 本橋 しのぶ, 野口 真弓, 今水流 邦子, 金澤 絵美, 森岡 順子, 片貝 貞江, 柴山 大賀, 山﨑 勝也, 川井 紘一
    2018 年 61 巻 2 号 p. 51-58
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    糖尿病診療を専門とする外来診療所において2007年から2015年に発生した重症低血糖の発生動向とその要因及び誘因となった患者行動,発生後の対処情況を調査した.糖尿病通院患者5031名中70名に178件の重症低血糖が発生した(発生率0.8件/100人年).重症低血糖を2回以上経験した患者は37名(52.8 %)であった.要因として,1型糖尿病患者では無自覚性低血糖の既往,2型糖尿病では高齢,インスリン治療,SU薬使用,大血管障害,認知症が示唆された.誘因は食事・活動量の変化によるものが73件(41.0 %),次いで明確な誘因なく発生したものが41件(23.0 %)であった.従来の療養指導に加えて,上記のハイリスク患者をとらえ,誘因となりうる行動への適切な対処を促す援助が重要と考えられる.

症例報告
  • 池原 佳世子, 内野 泰, 覚前 佑紀, 宮下 菜穂子, 芳野 弘, 宮城 匡彦, 熊代 尚記, 弘世 貴久
    2018 年 61 巻 2 号 p. 59-63
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    症例は83歳男性,43歳で2型糖尿病と診断され,シタグリプチン,グリメピリド,メトホルミンを内服していた.血糖コントロール悪化のため2015年7月にイプラグリフロジンの投与を開始された.同年12月に前腕から四肢体幹に広がる掻痒感を伴う水疱が出現し,皮膚科で薬疹の疑いで被疑薬の中止と皮疹の精査加療,血糖管理目的で入院となった.皮膚病理像,血清中抗BP180抗体の上昇より水疱性類天疱瘡(BP)と診断,ステロイド治療にて症状は軽減し退院した.被疑薬としてイプラグリフロジンも考えられた.これまで糖尿病治療薬投与後に水疱性類天疱瘡が発症した報告は散見されるがSGLT2阻害薬投与後に発症した報告はまだない.今回我々は,SGLT2阻害薬であるイプラグリフロジン投与後に水疱性類天疱瘡を発症した症例を経験したので報告する.

  • 児玉 尭也, 奥崎 健, 由田 彩佳, 磯山 正子, 大崎 慶子, 川崎 広平, 米田 真康
    2018 年 61 巻 2 号 p. 64-68
    発行日: 2018/02/28
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    症例は27歳女性.23歳時に高血糖を初指摘され,糖尿病性ケトーシスの診断で入院した.GAD抗体,インスリン抗体,IA-2抗体は全て陰性で,内因性インスリン分泌能も保たれており2型糖尿病として加療された.インスリン治療を離脱し,経口血糖降下薬の内服で退院した.26歳時に糖尿病性ケトアシドーシスを発症し入院したが,インスリン離脱に至らず,混合型インスリン製剤を用いた治療で退院した.27歳時に血糖コントロール不良のため当院内科に入院した.入院時の検査でGAD抗体,IA-2抗体は陰性だったが,内因性インスリン分泌能は低下していた.ZnT8抗体が153.0 U/mLと陽性で,1型糖尿病と診断しインスリン強化療法を導入して退院した.本症例のようにZnT8抗体単独陽性の1型糖尿病の症例が稀ながら存在し,他の自己抗体が陰性であっても1型糖尿病が疑わしいとき,ZnT8抗体の測定は診断に有用と思われる.

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