2018 年 61 巻 2 号 p. 59-63
症例は83歳男性,43歳で2型糖尿病と診断され,シタグリプチン,グリメピリド,メトホルミンを内服していた.血糖コントロール悪化のため2015年7月にイプラグリフロジンの投与を開始された.同年12月に前腕から四肢体幹に広がる掻痒感を伴う水疱が出現し,皮膚科で薬疹の疑いで被疑薬の中止と皮疹の精査加療,血糖管理目的で入院となった.皮膚病理像,血清中抗BP180抗体の上昇より水疱性類天疱瘡(BP)と診断,ステロイド治療にて症状は軽減し退院した.被疑薬としてイプラグリフロジンも考えられた.これまで糖尿病治療薬投与後に水疱性類天疱瘡が発症した報告は散見されるがSGLT2阻害薬投与後に発症した報告はまだない.今回我々は,SGLT2阻害薬であるイプラグリフロジン投与後に水疱性類天疱瘡を発症した症例を経験したので報告する.