2018 年 61 巻 5 号 p. 315-322
症例は75歳男性.3ヶ月でHbA1cが急上昇(5.9→8.8 %)したため紹介となった.空腹時低血糖,食後高血糖,高インスリン血症,抗インスリン受容体抗体陽性を認めインスリン受容体異常症B型と診断した.Flash Glucose Monitoring(FGM)で外来血糖変動を評価した結果,内服なしでは血糖値(平均±標準偏差)188±91 mg/dL,低血糖割合(血糖値70 mg/dL未満)16 %に対しダパグリフロジン,エンパグリフロジン,ミグリトール内服下ではそれぞれ146±82,140±70,142±61 mg/dLといずれも改善し特に食後血糖が低下した.低血糖割合は22,24,16 %と前者2剤は増加したがミグリトールでは増加しなかった.食後高血糖を伴う本疾患においてはミグリトールは低血糖を増加させず食後血糖を低下させることから3剤の中では最も有用であると考えられる.