糖尿病
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症例報告
高速液体クロマトグラフィー測定のHbA1c値と血糖値との乖離により異常ヘモグロビンHb Montfermeil[β 130(H8)Tyr→Cys]と判明した1例
橋本 瑛理子永井 義夫小尾 竜正田中 逸
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2019 年 62 巻 1 号 p. 31-36

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抄録

症例は57歳女性.健診で高血糖を指摘され糖尿病専門クリニックを受診した.随時血糖295 mg/dLに対しHPLC法(アークレイ社製HA-8170)で測定したHbA1c値が4.9 %と乖離を認めた.酵素法でのHbA1c値は6.6 %であり異常ヘモグロビン症が疑われ当院紹介となった.患者は多忙のため1年間治療中断した後に当院を受診し,血糖値(食後3時間)323 mg/dL,HbA1c値(酵素法)12.1 %,尿ケトン1+と糖尿病ケトーシスの診断で即日入院となった.遺伝子解析を行った結果,Hb Montfermeil[β130(H8)Tyr→Cys]と同定された.本症例はHb Montfermeilにより,HPLC法(HA-8170)でのHbA1cが偽低値を示した初めての症例であり報告する.

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© 2019 一般社団法人 日本糖尿病学会
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