糖尿病
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委員会報告
抗PD-1抗体投与後に発症する1型糖尿病の特徴および臨床経過に関する調査報告
馬殿 恵今川 彰久阿比留 教生粟田 卓也池上 博司内潟 安子及川 洋一大澤 春彦梶尾 裕川﨑 英二川畑 由美子小澤 純二島田 朗高橋 和眞田中 昌一郎中條 大輔福井 智康三浦 順之助安田 和基安田 尚史小林 哲郎花房 俊昭日本人1型糖尿病の成因,診断,病態,治療に関する調査研究委員会
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2019 年 62 巻 1 号 p. 37-46

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抄録

抗PD-1抗体投与後に発症する1型糖尿病について,日本糖尿病学会員への調査と文献検索を行い22症例を検討した.初回の薬剤投与日から発症までの平均期間は155日,発症時の平均年齢63歳,平均血糖値617 mg/dL,平均HbA1c8.1 %,尿中C-ペプチド4.1 μg/日(中央値),空腹時血中C-ペプチド0.46 ng/mL(中央値)であった.31.6 %に消化器症状,27.8 %に感冒様症状,16.7 %に意識障害を認め,85.0 %でケトーシス,38.9 %で糖尿病性ケトアシドーシスを発症した.50.0 %が劇症1型糖尿病,50.0 %が急性発症1型糖尿病と診断された.膵外分泌酵素は52.6 %で発症時に,28.6 %で発症前に上昇した.1例でGAD抗体陽性であった.抗PD-1抗体投与後に発症する1型糖尿病は,劇症1型糖尿病から急性発症1型糖尿病まで幅広い臨床病型を呈し,高頻度に糖尿病性ケトアシドーシスを発症するため,適切な診断と治療が不可欠である.

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© 2019 一般社団法人 日本糖尿病学会
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