糖尿病
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診断・治療(食事・運動・薬物)
糖尿病注射治療部位における皮下脂肪組織の超音波所見と血糖コントロールの注射回避後経時的変化
若林 侑香良本 佳代子長友 昌志金丸 洋蔵野尻 宗子大橋 誠
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2019 年 62 巻 10 号 p. 659-666

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抄録

インスリン頻回注射部位は皮下硬結触知の有無に関わらず表在超音波で皮下脂肪組織に低エコーや高エコー所見を呈することがあり,血糖不安定性の一因となる.注射部位変更による超音波所見や血糖コントロールの経時的変化の報告は少ないため,44名の検討をした.超音波所見のエコー輝度別に高エコー群(H群),混在群(M群),低エコー群(L群)とした.H群の40.7 %は硬結非触知であった.各群の平均HbA1cは注射部位変更前と比較し,2ヶ月後及び1年後に低下した.超音波再検はH群23名,M群9名,L群3名で実施し,H群の15例,M群の5例は2~48ヶ月後に高エコー所見が改善した.L群ではいずれの症例も改善を認めなかった.注射部位変更により血糖コントロールは改善することから,硬結非触知であっても血糖が不安定な場合,超音波検査により皮下脂肪組織変化を早期に発見することは重要である.

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© 2019 一般社団法人 日本糖尿病学会
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