2019 年 62 巻 10 号 p. 674-679
74歳,女性.病院受診歴や健康診断受診歴がなく,糖尿病の指摘はなかった.X年5月上旬,倦怠感,食欲不振,口渇感を自覚した.症状が改善しなかったため5月中旬に近医を受診したところ,38 ℃台の発熱があり,随時血糖396 mg/dL,HbA1c 11.1 %,CRP 9.0 mg/dL,WBC 13000 /μL(好中球88 %),糖尿病に感染の併発が疑われ当院へ紹介された.来院時採血では血中アミラーゼ483 IU/Lと上昇しており,精査目的で造影CTを施行したところ,腎動脈分岐部に感染性動脈瘤を疑う所見がみられた.集学的治療,抗生剤加療にて感染のコントロールを行ったが瘤の拡大を認め,東京女子医大病院に転院搬送し外科的治療が施行された.本症例では,抗生剤投与前,投与後,術中検体において全て細菌培養陰性であり,起因菌が特定されなかったそのため抗生剤のde-escalationに難渋し治療も長期化した.