2019 年 62 巻 2 号 p. 108-111
20年以上の罹病歴のある糖尿病患者治療中断による重症網膜症への影響を,(1)20年間治療中断なく伊藤クリニックに通院した群,(2)治療中断はなく最近の10年間は伊藤クリニックに通院した群,(3)治療中断はあるが最近10年間は伊藤クリニックに通院した群,この3群で検討した.3群間では,最近10年の血糖コントロール,腎機能,脂質いずれも同程度の病態であり,降圧薬使用の割合も同頻度であった.重症網膜症の有病率は(1)群31 %,(2)群24 %であり,(3)群52 %で,非中断群(1),(2)は中断群(3)に比較し有意に発症率が低値であった.糖尿病発症後10年以内の治療中断が重症網膜症発症に関係がある可能性を示唆した.