糖尿病
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症例報告
臨床経過,関連合併症が著明に異なるミトコンドリア糖尿病の同胞例
阿部 智絵竹田 安孝別所 瞭一酒井 健太郎中村 知伸柳町 剛司坂上 英充藤田 征弘安孫子 亜津子滝山 由美太田 嗣人
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2019 年 62 巻 3 号 p. 162-169

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抄録

症例は43歳女性.若年時より難聴あり.頭痛と嘔気を主訴に前医を受診.糖尿病ケトアシドーシスの診断で,当院紹介入院となった.インスリン分泌能は著明に低下し,強化インスリン療法を要した.母系の糖尿病家族歴に感音性難聴を伴い,白血球におけるm.3243A>G変異を認め,ミトコンドリア糖尿病(mitochondrial diabetes mellitus:MDM)と診断.細小血管症は認められなかったが,中枢神経病変を合併していた.41歳の妹にも難聴あり.34歳時に糖尿病の診断となり,経口薬で加療中であったが,姉の診断を契機に当院紹介.姉と同様にm.3243A>G変異を認め,MDMと診断した.姉とは異なり,腎障害と心筋症を合併していた.ミトコンドリア病では正常と異常ミトコンドリアDNAのヘテロプラスミーの程度により症状は多彩となる.臨床経過及び,合併症が異なるMDMの同胞例を経験したので報告する.

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© 2019 一般社団法人 日本糖尿病学会
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