糖尿病
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診断・治療(食事・運動・薬物)
インスリンポンプ療法からSAP療法への治療変更効果に関する後ろ向き観察研究
山口 哲志利根 淳仁勅使川原 早苗渡邊 真由片山 晶博宮本 聡江口 潤中司 敦子樋口 千草小川 大輔四方 賢一和田 淳
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2019 年 62 巻 5 号 p. 315-321

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抄録

本研究はSAP導入後の効果を検討するため,CSIIからSAPに変更後1年以上経過した1型糖尿病22症例を解析した後ろ向き観察研究である.HbA1cはSAP前と比較して6ヵ月(6M)では不変,12Mで有意に低下した(各々7.6±0.7 %,7.4±0.9 %,7.1±0.9 %).6Mの時点でHbA1c 0.1 %以上低下した群を6M低下群,変化なし又は0.1 %以上上昇した群を6M不変・上昇群と定義したところ,6M不変・上昇群で0MのHbA1cが有意に低値で,重回帰分析では基礎インスリン比率の変化(6M)がHbA1c変化量(6M)の有意な決定因子として採用され,負の相関を示した.また,6M不変・上昇群では0MのSMBGで低血糖頻度が有意に高く,1Mで有意に低下した.臨床的にSMBGでの低血糖が多い症例ではSAP導入後にHbA1c上昇を呈す事もあり,注意を要する.

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© 2019 一般社団法人 日本糖尿病学会
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