2019 年 62 巻 5 号 p. 322-329
近年,2型糖尿病患者におけるSGLT2阻害薬による肝機能改善効果を示す報告が散見される.しかし,肝線維化指標に与える影響は未だ明らかではない.本検討では外来にてSGLT2阻害薬が開始され,6ヶ月以上追跡可能であった2型糖尿病患者138例(年齢58±10歳,BMI 29.3±4.4,HbA1c 8.1±1.1 %)を対象に,6ヶ月間における肝機能推移とともに肝線維化指標であるFIB4 indexの推移を後ろ向きに調査した.結果,AST,ALT,γGTPは有意な改善を認めた(p<0.005).一方,FIB4 indexは全集団においては有意な変化を認めなかったが(p=0.338),投与開始時に肝機能異常(ALT≥36 U/L)を有する群においては有意な改善を認めた(p=0.008).以上より,SGLT2阻害薬は肝機能異常を有する2型糖尿病患者の肝線維化指標の改善に有用である可能性がある.