2020 年 63 巻 10 号 p. 701-710
2015年1月から2年7ヶ月間に北里大学病院で経口血糖降下薬単剤が開始されたドラッグナイーブ2型糖尿病患者を対象に処方実態を調査し,メトホルミンを第一選択として腎機能によりシタグリプチンを選択するフローチャートを用いた場合の薬剤選択および薬価に関して比較した.対象患者168名の初回導入薬剤の内訳は,dipeptidyl peptidase-4阻害薬115名,メトホルミン34名,その他19名であった.シミュレーションの結果,メトホルミンへ変更が83名(49.4 %),シタグリプチンへ変更が36名(21.4 %)であった.1ヶ月当たりの薬剤費を比較した結果,DPP-4阻害薬からメトホルミンへの変更例(70名)で-3,454.8円/人,シタグリプチン以外のDPP-4阻害薬からシタグリプチンへの変更例(29名)で-1,148.6円/人であり,フローチャートによる薬剤費削減の可能性が示唆された.