糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
症例報告
糖尿病を合併したX染色体長腕部分欠失のTurner症候群の1例
山本 果奈田中 早津紀橘 祐希髙瀬 真吾満田 佳名子吉田 有希子前田 康司新谷 光世西村 治男
著者情報
キーワード: Turner症候群, 耐糖能異常
ジャーナル フリー

2020 年 63 巻 2 号 p. 56-62

詳細
抄録

30歳女性.16歳時にTurner症候群(TS)と診断され原発性卵巣機能不全症に対しホルモン補充療法を開始した.30歳時に婦人科の定期検査で高血糖を指摘され当科を紹介受診した.空腹時血糖212 mg/dL,HbA1c 10.9 %と糖尿病を認め,抗GAD抗体は陰性で,尿中CPR 76.3 μg/dayであった.血糖は生活指導とメトホルミン,デュラグルチドで改善した.血糖改善後のHOMA-IRは3.1で,インスリン抵抗性を示した.またLH 18.2 mIU/mL,FSH 58.3 mIU/mL,E2感度以下であり原発性卵巣機能不全を認め,核型は46X,del(X)(q22.3)であった.TSではX染色体短腕のSHOX遺伝子欠失により低身長を呈することが多いが,本例は長腕部分欠失であるため低身長を呈さなかった.非典型的な臨床像を示すX染色体長腕部分欠失のTSで,糖尿病を合併した1例を経験したので報告する.

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top