糖尿病
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症例報告
速やかな緊急帝王切開により母児共に救命に至った妊娠関連発症劇症1型糖尿病の1例
羽田 幸里香海野 航高瀬 薫長岡 杏子柄澤 繁和田 輝里子亀田 亘諏佐 真治大泉 俊英羽根田 敦
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2020 年 63 巻 2 号 p. 50-55

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抄録

発症早期に緊急帝王切開となり,母子ともに経過良好な妊娠関連発症劇症1型糖尿病の1例を経験したので報告する.症例は31歳女性.糖尿病の既往歴,家族歴は無く,妊婦検診の血糖値も正常だった.妊娠36週で口渇,食欲不振,嘔吐を生じ産婦人科を受診.胎児徐脈を生じていたため緊急帝王切開で出産した.翌日に胸痛,呼吸苦が出現し,翌々日に過呼吸・幻覚・妄想が出現したため当院救急外来に搬送された.血糖値676 mg/dL,尿ケトン4+,pH 6.948と糖尿病ケトアシドーシスの診断で入院となり,補液とインスリン持続静注で速やかに改善した.HbA1c 5.6 %,抗GAD抗体,抗IA-2抗体共に陰性,尿中CPR 0.4 μg/日であり劇症1型糖尿病と診断した.児はNICUで管理され経過良好であった.近年,胎児の救命のために帝王切開が選択される妊娠関連発症1型糖尿病の症例報告もあり,文献的考察を加え報告する.

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© 2020 一般社団法人 日本糖尿病学会
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