2020 年 63 巻 5 号 p. 324-330
若年糖尿病患者の治療中断の予防,すなわち定期的な通院に関する支援は大きな課題である.定期的な通院は糖尿病のセルフケア行動の1つである.糖尿病のセルフケア行動には自己効力感やソーシャルサポートの関連が知られるが,近年ヘルスリテラシーとの関連が報告されている.そこで40歳未満成人2型糖尿病患者の治療中断率を明らかにし,治療中断とヘルスリテラシーの関連を自己効力感,ソーシャルサポート,経済状況を調整した多重ロジスティック回帰分析を行い検討した.調査は糖尿病専門医および糖尿病の専門資格を有する看護師が所属する大阪府内の13施設で行った.治療中断は,参加者の40 %に認められた.治療中断にヘルスリテラシーは関連していなかった.定期的な受診を継続するために,40歳未満成人2型糖尿病患者で自己効力感が低く経済状況が厳しい患者に対しては,外来でのサポートを強化する必要がある.