糖尿病
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病態・代謝異常・合併症
蛋白尿を伴わず腎機能低下をきたす2型糖尿病症例の頻度とその要因の検討
藤川 慧畑 雅久清水 彩洋子藤田 洋平桂 央士馬屋原 豊
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2020 年 63 巻 6 号 p. 390-398

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抄録

典型的な糖尿病腎症は微量アルブミン尿の出現を以て発症し顕性蛋白尿の出現に引き続き腎機能低下を来す.しかし実臨床においては顕性蛋白尿の出現なく腎機能低下を来す症例が存在するため,当センターでの現状を調査し腎機能低下に寄与する因子を検討した.2017年6月までの2年間で8回以上eGFRを測定した当センター通院中2型糖尿病患者1326例のeGFR slopeを計算し,-5 mL/min/1.73 m2/year未満の症例をRapid declinerとしたところ,全体の13.1 %,腎症1,2期症例(1106例)の10.8 %がRapid declinerであった.Rapid declinerとなる要因をロジスティック回帰分析で解析した結果,全症例および腎症1,2,3期に共通してベースラインのhemoglobin低値は有意な独立した危険因子であった.

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© 2020 一般社団法人 日本糖尿病学会
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