2020 年 63 巻 8 号 p. 515-520
2型糖尿病の患者が自らの病気に対して抱いている負担感情は,自己管理の不良や血糖コントロールの悪化につながるため,日常診療の中で評価することが重要である.患者本人の自覚症状の有無が心理的負担感に影響することが予想されるが,これについて検討した報告はほとんどない.本研究では,当科外来を初回受診した2型糖尿病患者228名を対象として,患者の心理的負担感をProblem Areas in Diabetes Survey(以下PAID)を用いて評価し,特定の自覚症状の有無がPAID得点に与える影響をロジスティック回帰により検討した.性別・年齢・HbA1cを組み込んだ多変量解析では,口渇感・多尿・倦怠感・体重減少の4症状のうち2個以上有することが,PAIDとの強い関連性を示した.高血糖の症状を多く有する患者においては,通常の血糖管理に加え,糖尿病への負担感に対する心理的介入の重要性が推測される.