2021 年 64 巻 1 号 p. 1-7
デュラグルチドを新規導入した2型糖尿病患者74例を対象として,導入後の患者自己負担額の変化について検討した.導入前に注射製剤(インスリン,他のGLP-1受容体作動薬)を使用していた例においては,1月あたりの自己負担額の増加は自己負担率3割では1,704円,2割では564円,1割では688円(いずれも中央値)であった.注射製剤非使用例においては,同様に自己負担率3割では7,282円,2割では4,626円,1割では2,057円であった.デュラグルチド導入後に自己負担額が減少した例では,導入時のGLP-1RAの使用率が有意に高値であった.糖尿病治療薬の費用の増加量を従属変数とする多変量解析では,デュラグルチド導入による糖尿病治療薬剤関連費の増加が少ない患者像として,他のGLP-1RA使用例,インスリン使用例,HbA1cが高い例,罹患年数が短い例が抽出された.