2021 年 64 巻 1 号 p. 8-18
2型糖尿病患者(40歳以上,薬物治療中)を対象として,食事療法の理解度ならびに栄養指導を受けた経験や教育入院経験などについて自記式質問紙調査(Web回答)を行ない,533名から回答を得た.理解度(20項目)は全般的に高い正答割合であったが,野菜の必要摂取量の知識不足,糖質制限の誤解なども示唆された.栄養指導を受けた経験があるのは約40 %であり,通院先としては病院・専門医クリニックが約半数,残りが一般開業医という内訳であった.一般開業医で治療を受けている患者は病院・専門医クリニックで治療を受けている患者に比べて,栄養指導経験の割合は低かった.体重・血糖管理状況を目的変数とするロジスティック回帰分析では,栄養指導の経験の有無は有意な説明変数ではなく,年齢,教育入院,夜間勤務の有無,カロリーと糖質との違いについての理解の有無が体重・血糖管理の不良リスクに関係していることが明らかになった.