2021 年 64 巻 1 号 p. 36-41
糖尿病療養指導カードシステム(CS)は,療養指導における質の向上と均質化を目標とするツールである.急性期病院混合病棟において糖尿病教育入院プログラムにCSを導入したところ,病棟看護師の療養指導への意識向上と看護記録字数の有意な増加を認めた(p=0.005).CS導入後の教育入院における入院時と退院時のPAID(糖尿病問題領域質問票),SESD(自己効力感尺度)及びESESD(運動自己効力感尺度)を比較したところ,CS導入前と同様に,PAIDは有意な低下(p<0.001),SESD及びESESDは,各々有意な上昇(各々p<0.001)を示した.更に,各々の変化度(退院時総点―入院時総点)には,CS導入前と後で有意差を認めなかった.CSの導入は,急性期病院混合病棟における限られた専門スタッフという環境下においても,療養指導の充実,看護教育面及び教育入院における心理面の質の保持に有意義である.