糖尿病
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社会医学・医療経済学
肥満2型糖尿病患者における非薬物的な体重の減量と外来医療費の変化量の関係
田中 麻理伊藤 裕之川久保 幸子草野 英司井筒 琢磨松本 涼子安徳 進一山﨑 知子森 俊子当金 美智子
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2021 年 64 巻 1 号 p. 42-51

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抄録

大血管症やGLP-1受容体作動薬,SGLT2阻害薬の使用がなく,BMIが25.0 kg/m2以上の肥満2型糖尿病患者105例を2008年度から5年間観察し,外来医療費の変化を体重変動との関係で検討した.外来医療費は体重減少群(n=56)で平均32.3万円/年から36.9万円/年,体重増加群で35.6万円/年から47.3万円/年と,いずれも有意な増額を示したが,その変化量(4.6万円/年vs. 11.7万円/年)は体重減少群で有意に低額であった.体重減少群では増加群に比べてHbA1cの悪化や処方された生活習慣病の治療薬剤数の上昇がみられず,外来医療費の変化量は生活習慣病の治療薬剤数の変化量と有意な正相関を示していた.以上より,肥満を有する2型糖尿病患者における非薬物的な体重の減少は,血糖コントロールの悪化や処方薬剤の増加を生じないことなどを通じて医療費の上昇を抑制し得ると思われた.

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© 2021 一般社団法人 日本糖尿病学会
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