2022 年 65 巻 2 号 p. 59-66
2型糖尿病患者において,心房細動が予後に及ぼす影響について後ろ向き観察研究にて検討した.2型糖尿病患者370例(男203例,女167例,平均年齢69.7歳)を平均5.0年フォローし,心血管複合イベント(心血管死,非致死性心筋梗塞ないし脳卒中,心不全による入院,予期せぬ突然死)に対する心房細動の影響について検討した.心血管複合イベントは32例にみられ,単変量ロジステイック回帰分析では,年齢,estimated glomerular filtration rate,既知の心疾患,心房細動が有意な寄与因子であり,この4変数による多変量ロジステイック回帰分析では,既知の心疾患と心房細動が独立した寄与因子であった.2型糖尿病患者において,心房細動は独立した予後に影響を及ぼす因子であった.