2022 年 65 巻 2 号 p. 67-74
48歳女性.22歳時に2型糖尿病と診断され,第1子妊娠(24歳)を契機に頻回インスリン療法(MDI)が導入された.48歳で第3子を自然妊娠し,妊娠5週でHbA1c 9.3 %のため当院を受診した.高齢かつ肥満合併のハイリスク2型糖尿病合併妊娠と診断し,厳格な血糖コントロールを目指したが,血糖値の変動が大きく妊娠8週に入院中の頻回の栄養指導と共にSensor-Augmented Pump(SAP)療法を導入した.SAP療法導入後,HbA1cは6.2-7.2 %を推移し,血糖変動の指標となる平均血糖変動幅(MAGE),標準偏差,M値も改善した.妊娠37週1日で予定帝王切開術により2,984 g(+0.7 SD)の男児を出産した.高齢2型糖尿病合併妊娠症例に対してSAP療法を導入し出産に至った報告はないため,その詳細な経過を診療上明らかとなった課題とともに報告する.