糖尿病
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症例報告
短腸症候群を合併する2型糖尿病患者にGLP-1受容体作動薬を使用し,栄養状態が改善した1例
藤田 沙弥香森本 佳奈白神 敦久
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2022 年 65 巻 6 号 p. 305-311

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抄録

短腸症候群(short bowel syndrome:以下SBSと略す)患者は様々な栄養素の欠乏症や重篤な下痢により活動制限を強いられ,長期Total Parenteral Nutrition(以下TPNと略す)による合併症等により生命予後が不良である.今回我々はSBSを合併する2型糖尿病患者にリラグルチドを使用し,栄養状態が改善した症例を経験した.症例は66歳男性.X-10年から糖尿病を指摘されていた.X-3年に小腸出血にて小腸部分切除術を施行後,直腸にも瘻孔を認め人工肛門造設,残存小腸は80 cmとなった.以降,経口摂取と高カロリー輸液を行っていた.X年リラグルチド皮下注射を開始したところ人工肛門からの排液が3000~4000 mLから1000 mL程度まで減少し,腎機能やアルブミン値が改善した.GLP-1受容体作動薬は,SBS患者の臨床症状・QOLの改善が期待でき,新たな治療法の選択肢となりうる.

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© 2022 一般社団法人 日本糖尿病学会
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