2022 年 65 巻 9 号 p. 497-504
睡眠障害と糖尿病には双方向性の関連がある.今回,糖尿病患者の睡眠の実態をアンケートにより調査した.当科外来を受診した糖尿病患者209例を対象に,3-Dimensional Sleep Scale(3DSS)を用いて睡眠の調査を行い,3DSSの結果を結果変数として各因子との関連を解析した.健常者と比較して糖尿病患者では,睡眠の質の点数が有意に低下していた.多変量解析の結果,睡眠の位相の点数は年齢との間に強い正の相関を認めた.睡眠の質の点数は,夜間頻尿を認める患者,不眠症治療薬を使用している患者,夜間に足がつる患者や女性において有意の低下を認めた.睡眠の量の点数は,HbA1cとの間に強い負の相関を認め,夜間に足がつる患者や女性においても有意の低下を認めた.糖尿病患者における睡眠障害の実態が明らかとなり,糖尿病性神経障害に対する対症療法,泌尿器科的介入などの多面的なアプローチが必要であると考える.