2023 年 66 巻 1 号 p. 26-31
コロナウイルス感染症2019(COVID-19)の流行のため,福岡県では2020年3~5月に休校措置が行われた.この期間中に,初発糖尿病の受診遅延を2例経験した.症例1は13歳女児.2020年3月より倦怠感が,4月より発熱,口渇,多飲多尿があり,保健所へ相談したが経過観察を指示された.4日後に全身状態が悪化し,1型糖尿病ケトアシドーシスの診断で当科入院となった.症例2は14歳男児.休校を契機に自室に閉じこもり,清涼飲料水の消費が増えていた.5月に発熱のため前医を受診した際に著明な体重減少を認め,2型糖尿病ケトーシス・菌血症の診断で当院に転院した.COVID-19流行下で,子ども達は休校と外出自粛のために孤立した.このような状況下では新規発症糖尿病患者の受診が遅延する可能性があるため,平時より小児においても糖尿病について広く啓発し,適切な医療機関の受診へつなげていくことが重要と考える.