糖尿病
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症例報告
高浸透圧高血糖状態を契機に中枢性尿崩症と診断された2型糖尿病の1例
平澤 麗子西谷 里枝蘆立 恵子川村 光信山田 哲也
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2023 年 66 巻 10 号 p. 750-757

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抄録

症例は62歳男性.半年前より口渇,多飲多尿が出現.近医で糖尿病と診断され内服加療中だった.インフルエンザ罹患を契機に食事・水分摂取が不良となり,意識障害にて当院に救急搬送.随時血糖905 mg/dL,HbA1c 13 %,Na 171 mEq/L,血漿浸透圧415 mOsm/kgH2Oで高浸透圧高血糖状態(HHS)と診断し,大量輸液とインスリン持続静注を施行.高血糖改善後も多尿と高Na血症が続くと共に,尿浸透圧低下から尿崩症を疑った.頭部MRIのT1強調画像では下垂体後葉高信号の消失を認め,高張食塩水負荷試験およびバソプレシン負荷試験の結果より中枢性尿崩症(CDI)と診断した.2型糖尿病治療中に感染を契機としてHHSを発症し,治療経過中にCDI合併の診断に至った1例を経験した.HHS治療後も多尿が持続する場合は,尿崩症合併も疑う必要があると考えられる.

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© 2023 一般社団法人 日本糖尿病学会
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