糖尿病
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66 巻, 10 号
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コンセンサスステートメント
原著
診断・治療(食事・運動・薬物)
  • 富田 益臣, 原島 史哉, 廣納 裕子, 石田 千香子
    2023 年 66 巻 10 号 p. 734-741
    発行日: 2023/10/30
    公開日: 2023/10/30
    ジャーナル 認証あり

    目的:isCGMを用いた糖尿病チームによる保健指導の有用性と自費部門として収益を検討する.背景:生活習慣病の重症化を予防するために,各健康保険組合は“生活習慣病予防事業”として保健指導を行っているが,糖尿病専門施設と連携し,保健指導を提供している保険組合は少ない.我々は,各健康保険組合の保険者を対象にIntermittently scanned CGM(以下:isCGM)を用いた外来プログラムと入院通院プログラムを提供し,その有用性と自費部門での収益を検討した.結果:134名が参加し,糖尿病ありは109名,高血圧症ありは59名,脂質異常症ありは83名であった.プログラム前後で,体重,血圧,HbA1c,LDL-Cは有意に低下した.収益は3年間で,23,110,000円の売り上げであった.結論:isCGMを用いて糖尿病チームによる介入を保健指導で行うことは有用であり,自費部門として病院経営にも貢献できることが期待される.

  • 田中 慧, 佐藤 康仁, 岩﨑 直子
    2023 年 66 巻 10 号 p. 742-749
    発行日: 2023/10/30
    公開日: 2023/10/30
    ジャーナル 認証あり

    MODY患者に対する個別化医療の血糖コントロールならびに糖尿病関連医療費に及ぼす影響を検討した.遺伝学的診断後も通院継続中のMODY1患者2名とMODY3患者5名,計7名のMODY患者を対象とした.個別化医療開始前と12ヶ月後のHbA1c,1ヶ月の糖尿病関連医療費を検討した.平均HbA1cは開始前7.37±1.10 %から12ヶ月後6.29±0.48 %(p<0.05),糖尿病関連医療費は同様に20,153±6,665円/月から8,671±8,817円/月(p<0.05)と有意に低下した.当初7名中6名がインスリン投与中であったが,5名(83 %)が最終的にはインスリン離脱に至り,うち4名が経口薬単独治療となった.MODY1とMODY3患者に対する個別化医療はスティグマの改善にも影響することが示唆された.さらに,MODY3患者では高率に肝細胞腺腫を疑う所見が認められた.

症例報告
  • 平澤 麗子, 西谷 里枝, 蘆立 恵子, 川村 光信, 山田 哲也
    2023 年 66 巻 10 号 p. 750-757
    発行日: 2023/10/30
    公開日: 2023/10/30
    ジャーナル 認証あり

    症例は62歳男性.半年前より口渇,多飲多尿が出現.近医で糖尿病と診断され内服加療中だった.インフルエンザ罹患を契機に食事・水分摂取が不良となり,意識障害にて当院に救急搬送.随時血糖905 mg/dL,HbA1c 13 %,Na 171 mEq/L,血漿浸透圧415 mOsm/kgH2Oで高浸透圧高血糖状態(HHS)と診断し,大量輸液とインスリン持続静注を施行.高血糖改善後も多尿と高Na血症が続くと共に,尿浸透圧低下から尿崩症を疑った.頭部MRIのT1強調画像では下垂体後葉高信号の消失を認め,高張食塩水負荷試験およびバソプレシン負荷試験の結果より中枢性尿崩症(CDI)と診断した.2型糖尿病治療中に感染を契機としてHHSを発症し,治療経過中にCDI合併の診断に至った1例を経験した.HHS治療後も多尿が持続する場合は,尿崩症合併も疑う必要があると考えられる.

  • 福富 広海, 野村 卓生, 井垣 誠, 治部 哲也, 岡本 昭義, 小松 素明, 田中 愼一郎
    2023 年 66 巻 10 号 p. 758-764
    発行日: 2023/10/30
    公開日: 2023/10/30
    ジャーナル 認証あり

    透析中の運動プログラムとして考えられる基礎的な知見を得ることを目的に,下肢ペダリング運動へ拮抗筋に対する電気刺激を複合したハイブリッド運動が身体機能へ与える効果をシングルケース研究(ABAB法)にて検証した.対象は高齢2型糖尿病患者1名(67歳,男性)であり,A期,B期,それぞれ8週間とした.介入頻度は週3日の透析通院のうち2日とし,A期では,仰臥位用エルゴメータによる両下肢ペダリング運動を実施した.B期では,A期と同じ運動実施中,両大腿部前後面への電気刺激装置を併用したハイブリッド運動を行った.結果,1回目のA期とB期の比較では,A期に比較してB期で身体機能を改善・向上させる大きな効果があると考えられた.ついで,2回目のA期とB期の比較では,A期に比較してB期で身体機能を中等度から小さな改善・向上効果があると考えられた.ハイブリッド運動は,透析中の安全で効果的な運動プログラムである.

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