透析中の運動プログラムとして考えられる基礎的な知見を得ることを目的に,下肢ペダリング運動へ拮抗筋に対する電気刺激を複合したハイブリッド運動が身体機能へ与える効果をシングルケース研究(ABAB法)にて検証した.対象は高齢2型糖尿病患者1名(67歳,男性)であり,A期,B期,それぞれ8週間とした.介入頻度は週3日の透析通院のうち2日とし,A期では,仰臥位用エルゴメータによる両下肢ペダリング運動を実施した.B期では,A期と同じ運動実施中,両大腿部前後面への電気刺激装置を併用したハイブリッド運動を行った.結果,1回目のA期とB期の比較では,A期に比較してB期で身体機能を改善・向上させる大きな効果があると考えられた.ついで,2回目のA期とB期の比較では,A期に比較してB期で身体機能を中等度から小さな改善・向上効果があると考えられた.ハイブリッド運動は,透析中の安全で効果的な運動プログラムである.