2023 年 66 巻 4 号 p. 247-253
近年,インスリンアナログ製剤が広く用いられているが,これら使用者の抗インスリン抗体を測定し,その有無と臨床像を検討した.初めてのインスリン治療に際し,同一製剤(ヒト:22名,アスパルト:31名,リスプロ:23名,グラルギン:23名)を1年間以上使用している2型糖尿病患者を対象に,抗インスリン抗体を放射免疫測定法(抗原:ヒトインスリン)で測定した.その結果,抗体陽性者はヒト:0 %,アスパルト:58.1 %,リスプロ:39.1 %,グラルギン:34.8 %であった.アナログ使用者で,体格指数,HbA1c,インスリン治療期間,併用糖尿病薬の有無で補正した検討で,1日インスリン投与量は,抗体陽性群で有意に(p=0.009)多かった.その増加分は陰性群の34.3 %であった.以上より,アナログ使用患者では,かなりの高頻度で抗インスリン抗体が認められ,治療に際しより多くのインスリンを必要としていた.