糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
症例報告
腹腔鏡下スリーブ状胃切除術の前後で妊娠,出産を経験した高度肥満2型糖尿病の1例
山口 麻里子恒川 卓佐野 玲子高島 裕美津留 香里溝口 暁鈴木 美佳小嶋 三千代伊藤 あけみ柄澤 祐可小川 寛子浅野 よしみ笹原 正寛森本 大士末岡 智
著者情報
ジャーナル 認証あり

2025 年 68 巻 9 号 p. 379-385

詳細
抄録

肥満および糖尿病合併妊娠は周産期の母体,胎児合併症のリスクを上昇させる.今回,減量・代謝改善手術の前後で妊娠・出産した高度肥満2型糖尿病の1例を経験した.腹腔鏡下スリーブ状胃切除術前の妊娠時は体重114.6 kg,BMI 47.5 kg/m2およびHbA1c 6.5 %であり,妊娠中に16.5 kgの体重増加があり最大で1日46単位のインスリンを要しても血糖管理に難渋し,産後数か月は体重およびHbA1cの増悪を認めた.一方で減量手術後の妊娠時は体重91.9 kg,BMI 38.1 kg/m2およびHbA1c 5.7 %であり,妊娠中の体重増加は6.9 kgでインスリンを用いず食事療法のみで良好な血糖管理を達成することができ,産後の体重増加およびHbA1cの増悪は認めなかった.減量・代謝改善手術は治療に難渋する高度肥満2型糖尿病患者の妊娠前管理の有効な選択肢となる可能性がある.

著者関連情報
© 2025 一般社団法人 日本糖尿病学会
前の記事
feedback
Top