糖尿病
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Diabetic Ketosisに関する研究 (第3報)
Gluconeogenesis, Ketogenesisに及ぼすTolbutarnideおよび外因性Lactateの作用に対する飽食ならびに飢餓の影響
坂本 信夫堀田 饒吉田 正義佐藤 祐造長嶋 誠角田 博信井口 昭久野村 了
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1974 年 17 巻 2 号 p. 126-132

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抄録
摘出ラット肝をウシ赤血球浮遊液にて灌流し肝代謝に及ぼすトルブタマイドおよび外因性に添加した乳酸の効果が, 絶食あるいは飽食によっていかに修飾されるかを検討した.
ウイスター系ラットを固形食にて飼育し, 自由摂食後および18時間絶食後に肝を摘出し灌流に供した.トルブタマイドは予備灌流30分後, 1.0mg/mlの乳酸は灌流開始と同時に10mMの濃度に添加した.以後経時的に90分間にわたり採血し, 灌流液中のグルコース・乳酸・ピルビン酸・アセト酢酸・β ヒドロオキシ酪酸を酵素学的に定量した.得られた成績は以下のごとくである.
1) トルブタマイドは絶食ラット肝による糖新生ケトン体産生を強く抑制するが, 飽食ラット肝では, その抑制効果は認められない.2) 乳酸添加は絶食飽食を問わずグルコース放出を増加させる.また絶食ラット肝では乳酸の添加によりケトン体産生はつよく抑制されるが飽食ラット肝では逆にケトン産生の増加をきたす.3) 添加した乳酸の利用は絶食ラット肝においてはきわめて速やかでかつ高度であるが, 飽食ラット肝では利用が遅延しかつ絶食肝に比し減退する.L/P比の推移には絶食肝・飽食肝の間に差を認めない.4) 以上の成績から肝におけるトルブタマイドおよび乳酸の代謝効果の機序について考察を加えた.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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