糖尿病
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17 巻, 2 号
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  • グルコースとの共同作用について
    細島 弘行, 川東 正範, 上田 操, 臼倉 教臣, 中林 肇, 竹田 亮祐
    1974 年 17 巻 2 号 p. 93-98
    発行日: 1974/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    健康正常男子に, 5%, 20%グルコースないし10%アルギニンを2時間半にわたり点滴静注しながら, 30分の間隔にて各々50%グルコース40ml [G], 20%アルギニン100ml [A] を注入した際の血糖, IRI反応を検討した.
    成績: 1) 5%グルコース注入中は, 血糖の基礎レベルは空腹時レベルに止るが, アルギニンないしグルコースによるIRI増加量 (ΔIRI) は, いずれも30分前に予め異種注入刺激を加えておくと著明に増加した.2) 20%グルコース注入の場合は, 基礎血糖値は200mg/100ml近くにまでなるが, アルギニン注入刺激に対するIRI反応は, グルコース・パルスの前処置に拘らず, 5%グルコース点滴群に比較しより著明に増加された.然しながら, インシュリン分泌を促すアルギニンとグルコースの共同作用はこの群ではみられなかった.異種の刺激として予めグルコースないしアルギニン刺激を加えても, 第二のパルスによるIRI反応に有意の影響を及ぼさなかった.3) 10%アルギニン注入時には, グルコースによるIRI反応は予めアルギニン・パルスを加えておくと著明に増強された.4) アルギニン負荷群ではアルギニン・パルスによる増加量は, アルギニン負荷群の血糖値に有意の相関を示した.
  • 高野 俊男, 有道 徳, 三好 康夫, 山吹 隆寛, 小坂 淳夫
    1974 年 17 巻 2 号 p. 99-109
    発行日: 1974/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1-14CacetateをPrecursorとしたrat脂肪組織のin vitroにおける脂酸合成において, 10例ずつの肝硬変および成人型糖尿病患者血清中における脂酸合成を, bufferならびに正常人血清中におけるそれと対比し, またそれらに対する60および600μU/mlの添加insulinの作用が各一血清によっていかなる影響をうけるかを検討した. 14Cのとりこみを総脂酸としてみると, insulin非添加と60μU/ml添加時, 両疾患, とくに肝硬変血清では正常血清に比しとりこみが抑制され, 600μU/ml添加時は3血清ともbufferに比し20%以上の抑制がみられた. これをさらに個々の脂酸の動きでみると, 重要なものとして16: 0の両疾患血清での14C%分布値は, insulin非添加および60μU/ml添加時, 正常血清に比し減少傾向にあり, この脂酸の14C%分布値が総脂酸の14Cの50~60%を占めることから16: 0の合成障害が総脂酸の変化に最も大きく反映する. また600μU/mlのinsulin添加時, 両疾患血清における18: 1の14C%分布値は, 正常血清に比し著明に減少しており, これら両脂酸の合成がinsulinの作用と密接に関係することや, これらの患者血清中の内凶性IRIが正常人血清に比し高値であることから, 肝硬変および糖尿病患者血清における16: 0や18: 1の合成阻害はすなわちmalonyl CoA経路の脂酸合成や不胞和化反応に対するinsulinによる促進効果の抑制を意味するものと考えられる.
  • 岡田 道雄, 小川 聰, 木村 満, 荻野 孝徳, 片山 一彦, 田中 剛二, 北村 信一, 堀内 光
    1974 年 17 巻 2 号 p. 110-118
    発行日: 1974/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    済生会中央病院における一次性糖尿病の剖検例55例, および一次性糖尿病で心筋硬塞をおこしたが, 生存しているか剖検されていない16例をretrospectivcに検討し, 一次性糖尿病患者における心筋硬塞群と非硬塞群の差異について, また剖検例55例のみを対象として, どのような糖尿病患者が生涯の間に心筋硬塞をより高頻度に合併するのか検討した. なお生前には心筋硬塞とは診断されなかったが剖検時心筋に散在性小壊死を認めたものを潜在性硬塞群として別にあつかった.
    心筋硬塞群では非硬塞群に比べて, 初診時空腹時血糖が201mg/dl以上であったもの, 空腹時血糖を200mg/dl以下にコントロールできなかったもの, 初診時やせていたもの, インスリン治療のものが少なく, 空腹時血糖が130mg/dl以下にコントロールされていたもの, 経口剤治療例, 初診時肥満していたもの, 体重コントロール不良例, 高コレステロール血症例, 心肥大例が高頻度に認められた (p<0.05). 潜在性硬塞群では糖尿病性糸球体硬化症, 糖尿病性網膜症を有したものが多く認められた (p<0.05).
    経口剤群はインスリン群に比べ心筋硬塞を一生の間に高頻度に起こした (p<0.05). 糖尿病性糸球体硬化症および糖尿病性網膜症を有したものでは潜在性硬塞がより高頻度に認められた (p<0.05). 心筋硬塞の発生は初診時空腹時血糖, 空腹時血糖コントロールレベル, 血清コレステロールレベル, 糸球体硬化症や網膜症の存在とは有意な関係を有しなかった.
  • 第1報Carboxypeptidase A活性測定の意義について
    藤井 暁, 西本 儀正, 佐治 哲文, 関 淳一, 和田 正久, 奥田 清
    1974 年 17 巻 2 号 p. 119-125
    発行日: 1974/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    carboxypeptidaseが膵臓内に高濃度に存在する事実に着目して2, 3の異なる病型の糖尿病患者について血清carboxypeptidase A活性 (以下CPase) を奥田らの方法を用いて測定し, 病歴, コントロール状態, 血清IRIなどとの関連について若干の検討を加えた. (1) 対象各群のCPase (mean±SE) は, 健常者 (21例) 289.2±3.8単位, 耐糖能異常を有する膵癌 (8例) 182.9±6.0単位, 肝硬変を合併した糖尿病 (12例) 210.8±11.6単位, 若年型糖尿病 (14例) 並びに成人型糖尿病 (25例) では各々248.0±22.8単位, 257.6±6.5単位であった. (2) 一次性糖尿病 (若年型ないし成人型糖尿病) 患者においてはCPaseと罹病期との間には一定の関係を認めなかった. しかしCPaseが著明に低値を示したのはいずれも罹病期間が10年以上の長期に亘り, かつコントロール不良の症例であった. (3) 一次性糖尿病においてコントロール良好の者ではCPaseが著明に低値を示す症例がなかったのに対し, 耐糖能異常を示す膵癌患者, 肝硬変を合併する糖尿病患者では糖代謝異常が比較的よくコントロールされている症例の中にもCPaseが著明な低値を示すものがみられた. (4) 一次性糖尿病においてCPaseと空腹時血清IRIとの間には一定の関係は認められなかった. 以上CPaseの測定が糖尿病患者について経過を観察する上で病歴やコントロール状態などとの関連において膵病変の存在を見逃さないための有用な検査手段の一つとなりうる可能性を示唆した.
  • Gluconeogenesis, Ketogenesisに及ぼすTolbutarnideおよび外因性Lactateの作用に対する飽食ならびに飢餓の影響
    坂本 信夫, 堀田 饒, 吉田 正義, 佐藤 祐造, 長嶋 誠, 角田 博信, 井口 昭久, 野村 了
    1974 年 17 巻 2 号 p. 126-132
    発行日: 1974/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    摘出ラット肝をウシ赤血球浮遊液にて灌流し肝代謝に及ぼすトルブタマイドおよび外因性に添加した乳酸の効果が, 絶食あるいは飽食によっていかに修飾されるかを検討した.
    ウイスター系ラットを固形食にて飼育し, 自由摂食後および18時間絶食後に肝を摘出し灌流に供した.トルブタマイドは予備灌流30分後, 1.0mg/mlの乳酸は灌流開始と同時に10mMの濃度に添加した.以後経時的に90分間にわたり採血し, 灌流液中のグルコース・乳酸・ピルビン酸・アセト酢酸・β ヒドロオキシ酪酸を酵素学的に定量した.得られた成績は以下のごとくである.
    1) トルブタマイドは絶食ラット肝による糖新生ケトン体産生を強く抑制するが, 飽食ラット肝では, その抑制効果は認められない.2) 乳酸添加は絶食飽食を問わずグルコース放出を増加させる.また絶食ラット肝では乳酸の添加によりケトン体産生はつよく抑制されるが飽食ラット肝では逆にケトン産生の増加をきたす.3) 添加した乳酸の利用は絶食ラット肝においてはきわめて速やかでかつ高度であるが, 飽食ラット肝では利用が遅延しかつ絶食肝に比し減退する.L/P比の推移には絶食肝・飽食肝の間に差を認めない.4) 以上の成績から肝におけるトルブタマイドおよび乳酸の代謝効果の機序について考察を加えた.
  • 豊田 隆謙, 佐藤 信一郎, 工藤 幹彦, 後藤 由夫
    1974 年 17 巻 2 号 p. 133-138
    発行日: 1974/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    アルギニンによるインスリン分泌にはグルコースの存在が必要である. しかしアルギニンによるグルカゴン分泌にたいしてグルコースがどのように作用しているかは明らかではない. ラット膵灌流実験を行ない, グルコース, 0, 50,150,300mg/dlの存在下でアルギニン作用を検討した.アルギニン注入後2分のグルカゴン値はそれぞれ745±46, 2062±106, 3433±127,510±21pg/nlと増加し, その分泌パターンはグルコース濃度0, 50mg/dlでは1相性であり, 150,300mg/dlの条件下では2相性を示した. アルギニン注入によるインスリン分泌はそれぞれ10.7±1.6, 32.4±3.2, 39.0±3.3, 43.2±3.5ng/dlと増加し, 分泌パターンはグルコース濃度0, 50mg/dlでは1相性, 150,300mg/dlでは2相性を示した. この成績はアルギニンによるグルカゴン分泌にはインスリン分泌にたいするのと同様にグルコースの存在が必要であることを示唆している. 特に興味ある事実はグルコース濃度300mg/dlによってグルカゴン分泌が完全に抑制されるようにみえるが, この条件下でもアルギニンがグルカゴンを分泌させることである. このことから次の三つの可能性が考えられる. (1) グルコースはグルカゴン分泌を抑制するがグルカゴン合成にグルコースは必要ではないか,(2) グルコースによって分泌されるインスリンがα 細胞に影響していないだろうか,(3) アルギニンの膜透過にグルコースが必要なのではないかと云うことである.
  • 大根田 昭, 山家 啓, 丸浜 喜亮, 松田 精, 佐藤 宗彦, 但木 博
    1974 年 17 巻 2 号 p. 139-145
    発行日: 1974/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    インスリンのアレルギー反応には, 局所反応と全身反応があり何れも稀であるが特に後者は稀である.我々は, インスリンの静注により, アナフィラキショックを起こした症例を経験した.症例は63歳の家婦で, 7年前に糖尿病の診断を受け以来定足期にインスリンや経口剤の治療を受けている.入院1カ月前より右季肋部痛あり他の病院に入院し胆石症糖尿病の診断を受け, ノボレンテインスリン12単位を約3週間注射された.当科に入院後, 21病日にインスリン感度試験のためレギラーインスリン5, 1単位を静注したところ, 注射直後より, 血圧は下降し, 意識は混濁し, ショック状態となった.ノルアドレナリン, プレドニンの静注により, 25分後にはショック状態より回復した.その後の皮内反応では, ウシ, ブタ・インスリンに対しては強陽性を示したが, カツオインスリンに対しては極めて弱い反応を示すのみであった.1131ブタインスリンを用いた血漿中の結合抗体は, インスリンによるショック直前の血漿中には証明されず, また, 1ヵ月後に皮内反応が陽性を示した際にも結合抗体は認められなかった.このことは, 結合抗体とレアギン型抗体とは異質のものであることを支持する.本例は当科に入院中経口剤でコントロールされたが, 胆嚢摘出術に際してはカツオインスリンを使用して良好なコントロールを得た.従って, ウシやブタのインスリンにアレルギー反応を呈した症例に対して, カツオインスリンは試みるべき方法と考えられる.
  • 脂質代謝を中心として
    沼 正作
    1974 年 17 巻 2 号 p. 147-153
    発行日: 1974/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 1974 年 17 巻 2 号 p. 155-161
    発行日: 1974/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 1974 年 17 巻 2 号 p. 163-179
    発行日: 1974/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 1974 年 17 巻 2 号 p. 181-189
    発行日: 1974/03/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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