糖尿病
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NSILA-Sの筋肉, 脂肪組織代謝におよぼす影響
池田 義雄斉藤 浩佐野 隆志尾林 紀雄種瀬 富男阿部 正和
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1974 年 17 巻 4 号 p. 311-315

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抄録

ラットの別出副睾丸脂肪組織 (副睾脂) 法によって測定される血中インスリン様活性 (ILA) は, 免疫反応性インスリン (IRI) と比較して100~1,000倍の高値が示される.ここでは副睾脂法によるILAのうち, インスリン抗体によっても活性を失うことのない非抑制型インスリン様活性 (NSILA) について, その5~10%を占める酸エタノール可溶性のNSILA-Sの筋肉組織と脂肪組織代謝におよぼす影響をラットの横隔膜と副睾脂によりin vitroで検討した.
NSILA-S1.66mg/ml (推定インスリン活性値1,000μU/ml) は模隔膜へのブトウ糖の基礎とりこみに対して抑制的に作用した. また, 同時に添加したインスリン1,000μU/mlのブドウ糖とりこみ促進効果に拮抗的に働いた.
一方, ラット副睾脂へのブドウ糖とりこみは, 横隔膜の場合とは異なり, NSILA-Sの0.16mg/ml (推定インスリン活性値100μU/ml) はインスリン100μU/mlと同等の効果を示した. そしてNSILA-Sと同時に添加したインスリンとの間にもなんら競合的阻害は認められなかった.
なおNSILA-Sは脂肪組織の脂肪異化に対してはインスリンと同様に作用した.
以上の成績より, NSILA-Sの生物活性とその意義について考察した.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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