糖尿病
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ガラクトースによる血中遊離脂肪酸の低下に関する臨床的観察
林 泰三長井 新一郎三杉 義潔山口 春雄田場 繁城
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1974 年 17 巻 4 号 p. 328-335

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抄録
健常者, 糖尿病, 肝疾患において, galactoseの経口負荷, 経静脈負荷試験を施行, いずれの場合も血中NEFAの著明な低下を認めた. galactoseによる血漿IRIの変化は, 経口投与によっても, 静脈内投与によっても, glucoseの場合の如き著明な上昇はみられず, galactoseによるinsulinの遊離は認められなかった. また健常者のみについてGTTとGal. TTを比較しglucose, NEFA, IRIの変動を検討したが, galactoseによる場合は, glucoseの場合と異なる態度が観察された. それらからgalactoseによるNEFAの低下は, glucoseのそれと異なる可能性が考察された. 同一症例にてGTTとGal. TTを施行, NEFAの低下を比較したが, galactoseによる場合は速やかで, 負荷30分後既に著明な低下を来たし, 60分後最大に達し, 以後前値に復する傾向をとる. glucoseによる場合は, galactoseより遅れるが, 2時間後も逐次的な著明な低下を来たし, その低下度はgalactoseによるよりも大である. Gal. TTの際の30分後の初期のNEFAの低下には, galactoseの直接作用によることが考察されるが, 以後の低下には, 負荷後の代謝変化の影響が加わる, 即ちglucose, IRI, 更にgalactoseの代謝に関係をもつredox stateに関係する基質, 特に乳酸, ピルビン酸などの作用を考慮せねばならない. 従ってGTTでみられた逐次的な時間後の著明な低下は, insulinの遊離による影響が大きいと考察される.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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