糖尿病
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KKマウス肝の病理組織学的研究
小林 孝好
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1974 年 17 巻 5 号 p. 427-432

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抄録

KKマウスの腎糸球体変化は生直後より現われ, 生後3ヵ月を境に二相性の変化を現わすことはすでに報告した. 後期の変化は糖尿病性糸球体硬化症と類似の象を示すが, 生後3ヵ月までにみられる糸球体変化はメサンギウム基質への多量の沈着物を主体とした変化であり, 肝障害時の糸球体変化に類似していた. そこで, 今回の研究では生後1日より20ヵ月までのKKマウス肝について病理組織学的に検討した.
その結果, KKマウス肝臓においては生後1ヵ月を境に二相性の脂肪化, および, 生後4ヵ月以降での腫瘍性変化とがみられる.
二相性脂肪化の内, 初期の脂肪化は生後1日から3週までの短期間にみられる. 肝細胞は微細な脂肪顆粒でみたされ, 細胞質は泡沫状を示している. この変化は生後4週では正常肝細胞にまで回復している. 後期の脂肪化は血糖値の上昇に伴って現われ, 初期にみられた脂肪顆粒と異なり, 不規則な大きさの脂肪顆粒が小葉中心性にみられる.
一方, 生後1-2ヵ月頃より肝細胞は著しく大きい細胞質・核を示し, しばしば核分裂像を示す。生後4ヵ月頃より結節性増殖を示し, 組織学的には肝腺腫の像を示している. この結節性変化は生後17ヵ月以後では100%の発生率を示している.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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