糖尿病
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甲状腺機能とアルギニンによるインスリン分泌
鈴木 洋
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1974 年 17 巻 5 号 p. 433-441

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抄録

甲状腺機能尤進症, 甲状腺機能低下症患者および正常対照者に0.59/kgの塩酸アルギニンを30分間にて点滴静注し, 経時的に採血し, インスリンおよび血糖値を測定した. 正常対照者はインスリン, 血糖共に30分に頂値を有し, その時のインスリン増加分 (IRI) は32.5±3.0μU/ml, 血糖増加分 (BS) は16.6±3.7mg/dlであり, 甲状腺機能尤進症患者では, インスリン, 血糖共に低ないし無反応であり, 30分IRIは2.6±1.9μU/mlであり, 30分BSは29±3.1mg/dlであった. 一方, 甲状腺機能低下症患者では, インスリン, 血糖共に高反応を示し, 30分IRIは87.6±19.9μU/ml, 30分BSは42.0±12.9mg/dlの頂値を示した. 血清サイロキシン, T3レジンスポンジ摂取率, 基礎代謝率, 甲状腺1明摂取率の各種甲状腺機能検査所見と15, 30, 45, 60分1RIとの間には有意 (p<0.01) の逆相関々係を認め, 特に15分でその関係は著しく, 以後漸減した. 各種甲状腺機能と15, 30分4BSとの間にも逆相関々係を認めたが, IRIほど著明ではなかった. 以上の成績からアルギニンによるインスリン分泌は甲状腺機能を良く反映していると思われたが, その機序に関しては今後更に詳細な検討が必要と思われる.

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