糖尿病
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糖尿病患者のインスリン反応に及ぼす食事療法とくに体重減少の効果について
高邑 裕太郎河野 智之宮崎 佳之鈴木 修関 英雄
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1974 年 17 巻 6 号 p. 508-514

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抄録

非糖尿病肥満者ではブドウ糖負荷時に血中インスリンの過剰反応があり, 体重の減少により正常化することが知られている.しかし糖尿病患者が食事制限によりその体重を減少させた場合におけるインスリン反応の変化についてはいまだかならずしも明確でない.そこで食事療法のみで治療した22例の比較的軽症の成人型糖尿病症例をA群11例 (体重著減) とB群11例 (体重非著減) に分け, 各群について1009ブドウ糖経口負荷時の血糖, 血中インスリンの動態を体重減少の前後で比較した. (1) A群では体重減少後に血糖値は測定の全時点で有意の低下を示し, 血中インスリン値は120分で有意の上昇を示した.B群では体重減少後も血糖値ならびに血中インスリン値に有意の変化はなかった. (2) A群では体重減少後にブドウ糖面積は有意の減少を示した.しかしインスリン面積の増加は有意ではなかった.B群では体重減少後もブドウ糖面積ならびにインスリン面積に有意の変化はなかった. (3) A群では体重減少後にInsulinogenicindexは測定の全時点で有意の増加を示したが, B群では体重減少後もInsulinogenic indexに有意の変化はなかった.
以上より比較的軽症の成人型糖尿病症例が食事療法により十分にその体重を減少させた場合には耐糖能の改善とともにインスリン分泌の増加があるものと考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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