糖尿病
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糖尿病性血管障害に関する実験的研究 (第1報)
大動脈壁脂質への14C-glucoseの取り込みについて
桜田 豊三折茂 肇岡郎 紘明野間 昭夫村上 元孝
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1974 年 17 巻 6 号 p. 515-521

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抄録
Streptozotocin (以下Stと略す) を投与後4日および28日を経過した実験的糖尿病ラットの血清脂質の変化と14C-glucoseを用いたin vitroにおける大動脈壁での脂質代謝について検討し, 更に糖尿病ラットにinsulinを投与しその影響をみた.
i) 血清TGおよび遊離脂肪酸は実験的糖尿病により有意に上昇したが, 血清cholesterolおよびリン脂質について差は認められなかった.ii) St投与後4日および28日を経過した群の大動脈壁TG含量は対照群に比し著明に減少した.一方cholesterol含量についてはSt投与後28日を経過した群において対照群にに比し有意に増加した.iii) 大動脈壁TGおよびリン脂質への14C-glucoseの取り込みとspecificactivityはSt投与後4日経過した群では有意に低下したが, St投与後28日を経過した群においては対照群と差は認められなかった.iv) 中性脂質画分でのmonoglycerideのpercentage distributionはSt投与により有意に増加した.v) St投与による実験的糖尿病ラット (4日経過した群) におけるi~iiiの変化はinsulinの投与により明らかに防止された.
以上のことより, St投与によるラットの実験的糖尿病においては大動脈壁での脂質代謝に異常が認められ, この異常はinsulinの投与により防止された.
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© 社団法人 日本糖尿病学会
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